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「見ざる 聞かざる 言わざる」

2016年01月03日
「申」という字は稲妻の形を表わしたもので、この稲妻は天の神の威光を表し、
神の発するものという考えから「かみ」の意味となり、「申」が「神」のもとの字に
なったという。
背骨と肋骨の形から成り、背中のまっすぐ伸びた形を表しているという説も。

サルの語源にはいろいろの説があるが、獣の中では知恵が勝っていることから
「マサル(勝る)」の意味とする説。アイヌ語で「サロ」、尻尾をもつものを「サルウシ」
ということから。また、古くから神聖視され、馬とともに飼えば馬の病気を砕くとして
馬の守護神であったことから「マル(馬留)」が転じて「サル」になったという説など。

「見ざる 聞かざる 言わざる」 とかく人間は自分にとって都合の悪いことや相手の
欠点を「見たり聞いたり言ったり」しがちだが、それらはしない方がよいという戒め。

論語に「礼に反することは見るなかれ、聴くなかれ、言うなかれ、行うなかれ」という
意味の「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、非礼勿動」という一節がある。
こうした「不見 不聞 不言」の教えが8世紀ごろ、天台宗系の留学僧を経由して
日本に伝わった。天台宗は比叡山の鎮護社の日吉大社と密接な関係にあり、
日吉大社を本尊とし猿を神使とする山王信仰が「庚申信仰」と習合した結果ともいう。

        庚申塔
              庚申尊   目黒区目黒本町 

庚申塔や庚申塚の庚申は、中国の陰陽五行説に基づく「干支」という年・月・日の
数え方により、干支六十組のうちの五十七番目の庚申「かのえさる」をさす。
道教では、1年間で6~7回ある「庚申の日」を特別の日として位置付けている。

三猿さんざる、さんえん)」  
3匹の猿が両手でそれぞれ目、耳、口を隠している意匠。三猿は世界的にも
"Three wise monkeys"として知られ、「見ざる、聞かざる、言わざる」という叡智の
3つの秘密を示しているとされる。英語では"see no evil, hear no evil, speak no evil."。

3匹の猿のモチーフは古代エジプトやアンコールワットにも見られ、シルクロードから
中国を経由して日本に伝わったとみられている。
「三猿」といえば、日光東照宮の神馬をつなぐ神厩舎に彫られた「三猿」。
猿は馬の守護神とされ、農家では「申」と書かれた 紙を馬小屋に貼ったり、また、
正月や祭りでは猿が馬をひくところを描いた絵馬や神札が用いられた。

        庚申塔
           道標を兼ねた庚申尊       三猿   大田区東雪谷 

「三猿」は「庚申信仰」の伝播とともに近世以降広く用いられるようになった。
庚申塔の石形や彫られる仏像、神像、文字などはさまざまだが、申は干支で猿に
例えられるため「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿を彫り、村の名や庚申講員の
氏名を記したものが多い。
仏教では庚申の本尊である青面金剛が彫られ、日月や猿、鶏、邪鬼等が配され、
足元に「三猿」が添えられた例も多い。
つれづれ
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